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ヨーロッパで使用禁止の農薬が日本では野放し状態。農薬大国日本の実態

2020年の東京オリンピックとパラリンピックに向けて、今、日本の「世界第3位の農薬使用量」と「甘い農薬残留基準」が浮き彫りにされつつあります。

オリンピックの選手村の食堂で使用される農産物の国際規格である「グローバルGAP(農業生産工程管理)」。 
ヨーロッパの農産物の約8割をカバーし、世界80か国以上で8万を超える生産者・団体が認証を取得する国際規格です。

チェック項目は農作物の安全性のほか、農薬による水質汚染を防ぐ方法や生産者の労働環境など約250項目。 
この基準により、日本の農薬の使用基準の緩さが表面化します。

ヨーロッパで使用禁止の農薬が日本では野放し状態。


WHO(世界保健機関)の報告書で胎児への影響が危惧されている農薬でさえ、日本では使用可能。 
水質汚染につながる肥料の使用量の規制もなく(ヨーロッパでは規制あり)、健康被害を引き起こすと危惧されている硝酸態チッソの基準値もありません。

そんな中、世界基準ともいえるこの国際規格の認証を取得できる農場は日本に存在するのでしょうか? 
国産野菜の安全神話を信じ、農薬がどの国よりもたっぷり使用されている国産野菜を好んで選んでいるのが、今のわたし達の現状なのかもしれません。

日本の農薬事情 毒性の高いネオニコチノイド系農薬の許容量も増加。

日本は毎年、農薬使用率が世界トップ3位に入る農薬大国(耕地面積当たり)。 
この農薬使用率の高さの理由の1つは日本の気候。

日本の多雨そして温暖な気候は作物の生育に好条件ですが、湿気により害虫も発生しやすい環境。

害虫被害による出荷の減少は、農家にとっては死活問題です。 
虫食いがある農作物は消費者の印象も悪いため、必然的に農薬の量も増えてしまうのでしょう。

海外で規制されているものも使いたい放題


そして、量だけでなく、日本で使用されている農薬自体も問題。 
2013年以降、EU全域で全面使用禁止され、その後、韓国、アメリカやカナダの各州で次々に規制、毒性がとても高く禁止されたネオニコチノイド系農薬も日本では野放し状態。 
世界の作物の100種類中70種類はミツバチの受粉を媒介し育ちますが、そのミツバチの減少に影響を与えているとして、今、世界でネオニコチノイド系農薬の使用が問題視されているのです。 
害虫の神経に作用して害虫を殺すネオニコチノイド系農薬が子どもの脳や神経の発達を害する可能性も警告されています。

農薬の具体的な害

あなたのお子さんを守るために

  • 妊娠中や幼児期に有機リンの汚染を受けた場合、ADHD(注意欠如多動性障害)と診断される確率が上がる。
  • 脳や神経が発達途中のため、神経毒性のある農薬の影響を受けやすい。
  • 白血病その他のがん発生率、流産の確率が高くなる、免疫力の低下など(妊娠中の殺虫剤汚染により、子どもの白血病発症率は2倍以上になるという報告もある)。 

・発達障害、運動能力や協調性、全般的な精神機能への悪影響。

大人も、同様


農薬の害の心配はお子さんだけに限りません。 
大人でも残留農薬の継続的な摂取によるガン、神経系や免疫系への悪影響、ホルモンの異常への関連性が指摘されています。 
また、農薬によるわたし達を取り巻く環境や生態系への悪影響も心配されています。

そんな農薬の悪影響にさらされている日本が、国際規格、グローバルGAPの承認を受けオリンピックを無事に迎えるために、そして私たち自身が本当の意味で安全な食卓を家族で楽しむために、オーガニック食材の普及が一役を担うのでは?!と私は思っています。

オーガニック作物を選ぶ、メリット

国産のものは輸入品のように防カビ剤の心配はないですが、オーガニック野菜・果物以外はやはり残留農薬が心配。 
農薬の主な原料は石油、石炭やリン、カリなどの鉱石類や界面活性剤など(農林水産省より)。 

「直ちに健康への影響はない」から使用が許可されているのですが・・
発ガン性や催奇形性など、いつも食べているものだから他人事ではないですよね。

英国ニューキャッスル大学の率いる国際専門機関はオーガニック果物は慣行農業の果物に比べ残留農薬が約1/7、そしてオーガニック作物の毒性重金属の濃度の慣行農業に比べ大変低いことを証明しました。

オーガニック作物は農薬使用のものより6割も抗酸化物質が多い!


またオーガニック作物や食材が、慣行農業の作物より60%以上抗酸化物質が多いことを証明し、その報告は専門分野で最大規模のBritish Journal of Nutritionに掲載されました。

抗酸化物質はクローン病や、心血管疾患や、神経変成疾患、ガンなどから体を守るといわれています。 
この研究は、オーガニック対慣行農業食物の栄養含有率の違いにおいて、今までで一番広範囲にわたる研究です。 
この研究結果からも、オーガニック作物の安全性と病気への予防効果が期待できるのと言えるのではないでしょうか。

また米国小児学会(AAP)がオンラインで公表した臨床レポートにも、オーガニック作物のメリットが記載されています。

  • 様々な病気の一因とされる殺虫剤の影響が低い
  • 薬剤耐性菌に対する暴露がより低い
  • ビタミンCやあらゆるフェノール類などの有益な栄養素を多く含む
  • 硝酸塩などの有害物質量が少ない
  • 環境汚染を回避しつつ、収穫量は従来の農業技術に匹敵する
  • 農場労働者の農薬による影響がより低い
  • 慣行農業に比べ全体的な環境負担が低い

オーガニック農法のメリットは、わたし達の健康だけではなく、わたし達を取り巻く環境、生産者の健康と経済面(収穫量)など多岐に渡ることがこの臨床レポートからも伺えます。

特に残留農薬が心配な野菜や果物

いくらオーガニック野菜が良いといっても、今の日本では一般のスーパーではオーガニックの野菜や果物は手に入りにくいのが現状。
オーガニック製品を取り扱っている専門店はどこにでもあるわけではないですし、ネットショップも「今すぐ、XXが欲しい」という時には、ちょっと不便なことも。

そこで「残留農薬の多い野菜や果物」を知っておき、調理前の処理方法を工夫したり、残留農薬の多い野菜や果物はできる範囲でオーガニックのものを買うようにしたりと、あなた自身が工夫をすることが大切になってきます。

残留農薬のリスクが高い、不安な野菜


特に葉野菜や夏野菜が心配。

プチトマト、きゅうり、ピーマン、ケール、ほうれんそう、セロリ、ジャガイモなど

害虫がつきやすいので、どうしても農薬の使用量も増え残留農薬も多くなります。 
特にほうれん草はネオ二コチノイド農薬の規制が以前のものより従来の13倍(40ppm)まで引き上げられたため、非常に危険度が高いといえます。食べる前にしっかり洗う、もしくはオーガニック野菜や無農薬野菜を買うのがお薦めです。

残留農薬のリスクが高い、不安な果物

リンゴ、イチゴ、桃、ブルーベリー、ぶどうなど

甘い果物は害虫がつきやすく、農薬を沢山使用しています。 
果物が好きなお子さんは多いので、ママが気をつけてあげてくださいね。 
皮をむけるものは皮をむいて、そのまま食べるものはしっかり洗って頂きましょう。

丸かじりできる果物は日本には本当に少ないと思っていただいたほうがいいでしょう。

残留農薬の少ない野菜や果物


農薬を使った野菜や果物でも、その育て方や性質により、また皮に包まれいて実際に食べる部分の残留農薬は少ないものなどがあります。

野菜:アボカド、とうもろこし、たまねぎ、ナス、きゃべつ、さつまいも、グリーンアスパラなど

果物:スイカ、メロン、キウイ、パイナップルなど

「オーガニック野菜」=敷居が高いとレッテルを貼る前に、地元のマルシェで生産者の顔を見て野菜を買ってみたり、普段はネットショップのオーガニック野菜を買う。

どうしても時間に余裕がないときは、なるべく残留農薬の少ない野菜を買って専用の農薬を落とす洗剤で洗う。

残留農薬の多い野菜は出来るだけ避ける・・など工夫をして少しずつ生活に取り入れてみてください。

「私たが安全な食卓を家族で楽しむために、そして、わたし達が住みやすい環境を守るために、オーガニック農業の普及がキーになる」。 
言葉で言うのは簡単ですよね。

でも、農薬、化学肥料に頼りきった現在の日本の生産者がオーガニック農法に移行するにはかなりのパワーが必要になります。 
オーガニック農法にするための制度が十分とは言えない日本の制度にも問題があることは確か。
それでも多くの農業従事者は可能であればオーガニックの野菜を作りたい、と願っているのも事実です。(部分的にハーバービジネスオンラインから抜粋)